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電脳世界への招待

 こんにちは。「電脳世界杯」発起人のランプです。この大会を開催する意図、背景についてご説明をさせて頂きます。少し長くなりますが、順序立てて説明しますので、読み飛ばさず、上から丁寧に読んでいただきたいと思います。

 私は吃音です。連発、難発の症状があります。子供の頃からです。私の場合、この症状は緊張によって出ることが多く、要するに、人前に出てクイズの解答を素早く発声することが難しく、問読みも厳しいということです。だから私はチャット解答可能なオンラインクイズしかせず、声を出すことがありません。問読みも仲間に頼るばかりです。今までの人生経験から、単純に「晒したくない」という思いも強いです。前向きとは言えませんが、これが私の折り合いの付け方です。なにも気にせずに楽しみたいし、本来であれば知られたくもなかったです。

 今までの人生で吃音が原因でいじめのようなものを受けることもありましたし、理解されないこと、避けられることは私にとって珍しいことではありませんでした。そんな私でもチャットで解答するオンラインクイズと出会い、何も気にせずに人と繋がり、楽しめる趣味を初めて得られたのは本当に幸運なことです。でも、声を出さないことで「実は男なんじゃないか?」とか「実は年齢をサバ読んでいるんじゃないか?」とか何度も言われました。中にはそういった疑念をTwitterで呟く人まで現れる始末でした。恐怖でしたし、耐えがたい苦痛でした。そういった心無い言動を目の当たりにし、ほっとけばエスカレートしていくのは目に見えていると感じました。なので、勇気を振り絞って、去年の秋ごろにサークル内でカミングアウトしました。私にとって生涯忘れられない告白でしたが、みんな受け入れてくれました。

 その際に仲間たちにも説明したことなのですが、オンラインクイズは私のようにクイズ環境が不利な境遇の方(以下「環境不利者」と称す)が、クイズをする受け皿になる可能性を秘めています。私の存在がその証拠です。

 すべて列挙できるわけではありませんが、吃音、パニック障害、対人恐怖症、見た目問題、経済的な理由、地理的な理由、介護や育児といった家庭環境、様々な疾病や障害など、多種多様な事情でオフラインの大会やサークルへ参加しにくい方がいることと思いますし、今後も現れると思います。もちろん、全ての要因に対応できるわけではありませんが、それでもオンラインクイズの需要は無視できるものではないと考えます。

 オフラインのクイズ界には、素晴らしい大会やサークルが多くあることと思います。OP大会で優勝することは努力に値するでしょう。でもその全てが、私のような環境不利者には共有できないものです。憧れながら見つめるだけです。大会で勝利するために努力し、優勝を目指してクイズをするというわかりやすいモチベーションが最初からありません。それでも楽しいからクイズを続けています。仲間たちと「楽しい時間」を共有するためだけにクイズをしています。

 声が出せないという強烈な制約の中で、オンラインクイズサークルを立ち上げ、仲間を集め、大会を開催し、最近では弟子をとり、後進の育成にも力を入れ始めました。サークルや大会は、チャットなど、文字による伝達手段だけで運営してきました。私が立ち上げた二つのサークルに参加している人数は、合わせて100名を超えました。4年かかりました。すべてが私の誇りです。

 オンラインクイズには環境不利者の受け皿になる可能性があると申し上げましたが、弱点もあります。最も大きいのは、不正行為に対して性善説をとるしかないということだと思います。何度かオンラインクイズ大会を開催してきた経験から、ある程度は見破れますが、どうしても完璧な監視はできません。こういった弱点と向き合い続ける必要があります。

 これらの事、全てを踏まえたうえで、数年温めてきた計画を実行に移させていただきます。それは、オンラインクイズ界において、多くの方が目標とし、登るべき山、越えるべき壁となる、大規模な個人戦大会を開催することです。私のクイズプレイヤーとしての夢でした。実現可能なとこまでようやくたどり着いたと思っています。私の吃音もカミングアウトすることになりますが、覚悟の上です。この大会を通じて、環境不利者が存在するという視点をクイズ界に広めたいと思っています。先ほどご説明した「心無い言動」も、環境不利者がいるという視点がないためのものであると思います。私と同じ思いをするプレイヤーがいなくなることを切に願います。そのためにも多くの方を巻き込んで、大々的に開催しようと思っている次第です。

 来るべき環境不利者のオンラインクイズ参入への、大きな一歩となる大会にしたいと思っております。オフラインクイズの下位互換ではなく、別の魅力を兼ね備えたものとして、ちゃんと独立独歩し、多くの方を受け入れるクイズ大会にしたいです。なので、オフラインで名を轟かせる強豪プレイヤーの参加も大歓迎です。これから参加する環境不利者の方の前に立ちはだかる大きな壁であってもらいたいと思います。むしろそんな方々の参戦が環境不利者の支援になると考えていただきたい。簡単に勝てる大会であってはならない。挑戦するに相応しい山でなければならないと思っています。そして、いつか私自身が参加したいです。

 吃音のクイズ王、巨大サークルを率いる妊婦、貧困ゆえ遠征できない小学生プレイヤー、皮膚病の司会者、へき地在住の強豪プレイヤー、車いすの問題統括、長期療養中の大会長。そんな未来もあり得るのではないでしょうか。そしてそれはきっと楽しいと思います。環境不利者という視点を、多くの方々に取り入れてもらえたら、私にはできない有意義な活動をしてくださると期待しています。この大会はその第一歩です。

 あらゆる環境の方が楽しめるクイズ界を。環境不利者にも活躍の舞台を。貴方の参戦が支援になる。素晴らしい大会にしてみせます。是非お越しください。

「電脳世界杯」大会長 ランプ